A's LabⅡ

アスラボと読みます。マイクロマウスやロボトレースの大会に向けて、機体の構造設計・回路設計・基板設計・プログラミングを中心に行っています。趣味のパワーエレクトロニクス系では、テスラコイルやコイルガンなどを製作・評価・改善を繰り返しています。興味を持って頂ければ幸いです。アドバイスや質問、感想などございましたらコメント欄にお願いします。 また、私のブログは背景が暗めの設定を想定しているため、白背景では文字が読みづらい点があります。

!!DANGER HIGH VOLTAGE!!
このブログには生命に関わる危険な記事が含まれています。
記事を参考にされる際は、全て自己責任でお願いします。

株式投資とデイトレードで金持ち戦略を練る話

 この記事はMicro Mouse Advent Calendar 2020の6日目の記事です。昨日はmakotoさんのマウスのおかげで就活が無事終わりましたについてでした。
 内定おめでとうございます!とても良いタイトルですね。私も1年前はマウスのおかげで就活がイージーモードでした。面接の際、志望動機でマウスの経験を絡めて話し、食いついてきたら鞄から実機を出して説明すれば、面接官からはマウスの質問が中心となり良い流れが作れます。しかし、面接官に何でもできる人という期待をさせてしまい、ハードルが上がってしまうというデメリットがあります。私はプログラミングを道具としか思っていない派で、素人で不得意なのに業務は工程検査アプリなどのハードがわかる前提のソフト系になってしまいました。本当は電子回路設計の道に行きたかったんですけどね。


 私は今年から会社員になり、学生の時と比べて気楽な時間が増えました。今年はマイクロマウスの大会がコロナウイルスの影響で軒並み中止になっているので、この機会に新しいことを始めたいなと思い、お金の勉強をすることにしました。

 <目次
 ・背景
 投資のリスク
 積立に人気の投資信託
 現在のトレードスタイル
 ・失敗談
 ・終わりに

背景
 一般的にお金の話は下品とされる風潮があるせいで(?)日本人の金融リテラシーはとても低いという調査結果が出ています。
 18歳から79歳の25,000人を対象とした政府のネット調査では、金融・経済の基礎、保険、ローン・クレジット、資産形成に関する正答率は5割前後しかありません。学生や新社会人に絞れば更に下がります。

 そこで私はこう考えました。
「周りの金融知識が低く、損失回避思考が強くて貯金貧乏になっている現状があるとすれば、ちゃんとした知識を身につけるだけで簡単に上位に行けるのでは?」

 ということで、私は日商簿記検定3級の通信教育に申し込み、勉強することにしました。日本の会社はこのような自己投資に関してとても良心的で、このテキスト代や練習問題、過去問などがセットになったコースが、成績によっては全額から半額返金されます。会社の業務に関係することであれば書籍は会社に買ってもらうこともできます。
 羽振りのいい会社でなくても、会社員ならみんな払っている雇用保険に教育訓練給付制度があるので、これを利用すると受講料の何割かがハローワークから支給されるのでおすすめです。学生は授業で使う教科書を買うのも自腹なのに、会社員の方が制度的に恵まれているのでおかしな感じですね。学生にもっと割引があってもいいような気がします。

 国が提供する制度を調べていくうちに、積立型の生命保険はボッタクリの投資信託だったことに気付きました。私は新社会人なってすぐに、巧みな話術に乗せられ割高な生命保険に加入させられましたが、正直言って独身のうちは生活防衛資金を100万くらい貯めてしまえば生命保険はいらなさそうです。強いて言うならば死亡保険だけ掛け捨てしておけばいいくらいです。
 生命保険については話すと長くなりますが、高額医療費制度や確定申告による減額制度を利用すると意外とお金がかかりません。保険は必要なものだけ掛け捨てして、積立をしたいなら証券口座を開設して投資するするべきです。

投資のリスク
 SNSや会社の同期に投資の話をすると、「株ってギャンブルでしょ?」とか「不労所得なんて胡散臭い」といった声ばかりが届きました。リスクがあるから危険だと考えている人は多いみたいですが、ここで言うリスクというのは不確実性のことです。資産運用において適正なリスクを取ることは必要で、リスク無しの投資案件を持ってこられる方がよほど危険なんです。

 投資するに当たり、リスクを取るのは仕方ないとして、どれだけリスクを取れるか自分のリスク許容度を知ることが第一歩となります。元本割れが1円でも許せない人には投資は向きません。しかし、お金の価値は常に変動するもので、日本円で貯金ばかりしているのも一種のギャンブルかもしれません。数年で大金持ちになりたいのであればそれなりのリスクを覚悟する必要がありますし、定年退職後に年金に頼らず配当で暮らしていけるように積立したいのか、考え方で方針が全く違います。リスクは小さくしたいという人が多数派みたいなので、今回は後者でオススメを紹介しようと思います。

積立に人気の投資信託
 ※今から紹介する銘柄は全て売却(売埋、買埋)済みで、現に保有していません。保有している銘柄をネットにあげることは証券取引法でグレーゾーンなので紹介できません。

 私からのオススメではなく、あくまで人気なものを紹介します。
 これを積立NISAに設定して非課税で運用することが流行ってるみたいです。このようなみんながやっている投資先は暴落を招きやすいという欠点があります。
 ここで株式投資で大儲けをしていたK氏と靴磨き少年の逸話をお話します。1928年、K氏はオフィスに向かう途中で、靴磨きの少年に靴を磨いてもらいました。靴を磨き終わった後、その少年はK氏に向かって「○○株は儲かるから買うといいよ」と言ったそうです。それを聞いて彼は「こんな少年までが株の儲け話をするなら、この後に株を買う人はいないから株式は暴落する!」と考え、すべての株式を売り払い、1929年10月24日の大恐慌の始まりとなる米国株の最初の大暴落を免れたというお話です。
 みんなが買ってるから私も買おうではなく、みんながまだやってなくて後からついてきてくれると思うものに先回りすることが重要です。後から来た人は養分になってしまいます。

現在のトレードスタイル
  私の現段階のトレードスタイルを紹介します。
デイトレード(1日で株を手仕舞う手法)
スキャルピング(超短時間の取引手法)
中長期投資(半年以上の保有を前提として株を購入する)
仕手株待ち伏せ(仕手筋が低位で買い集めて材料なしに暴騰する銘柄を仕込む)

 この4つをメインでやっています。後ほど紹介する失敗の経験から考えたやり方です。今は実践と勉強と改善を同時進行で行っており、最良の手法を模索しています。それぞれ説明します。

デイトレード
 株を保有してその日のうちに片付ける手法です。信用取引のデイトレード用の制度を使うことによって、手数料が無料で取引を行えます。といっても私は会社員なので、あまりトレードができません。会社にいるときはザラ場を見ることが殆どできないので、朝に板を録画しておき、帰ってから一日の板の動きを見たりしています。会社員をしながらも、専業トレーダーと同じ土俵で戦わないといけないので、できる限りすべての情報を取り込んでいます。そしてデイトレードできる日はいつも板を見ていたことを強みにして利益を出せるようになってきました。

スキャルピング
 デイトレードより短時間で取引を終えるトレードスタイルです。デイトレードはチャートのテクニカル分析から、この価格まで目指そうといった目標のもとトレードしますが、スキャルピングは数ピック(値幅数円から数十円)の変動で利確してしまう取引方法です。株の保有時間は数秒から数分で行うことが多いです。私は会社の休憩時間にこの手法を取るようになりました。最近は20分くらいで8千円稼げています。

中長期投資
 やっと投資が出てきました。中長期投資は半年以上を目安に取引しようと思っています。なぜ半年かというと、信用取引では返済期限が6ヶ月間なので、信用取引をしている人達より長く持つことにより、無理して株を買っている人が剥がれて株価が上昇してきたところを取れそうだなと感じたからです。中長期投資と決めた銘柄は、材料なしに下がっても半年間は無視して持ち続けるつもりです。現に含み損が30万になってしまった銘柄があるので、この方法はダメかもしれません。とりあえず残りの3ヶ月間は頑張って保有します。

仕手株待ち伏せ
 仕手筋といわれる株式市場で投機的な売買を繰り返し、株価をつりあげようとする投資家グループがいます。その人達が株価を操っている株を仕手株といい、この株を一緒に低位で買い集め、暴騰したときに売り抜ける手法です。材料もないのになぜか価格が急上昇し、出来高も増えてランキングに掲載され、価格が上がっているから今後材料が出るかもしれないと思った投資家が飛び乗り、更に価格が上がります。上がるから買う、買うから上がるのスパイラルに入ります。
bandicam 2020-12-06 00-21-34-594
 1年のうちに1回跳ねれば良い方な銘柄が多いので、複数保有して急騰をひたすら待ち伏せします。

 デイトレードとスキャルピングでは利益のほうが大きく取れていますが、持ち越しをする投資は総合的に見てマイナスになっています。仕手株待ち伏せの方は最近始めたばかりで、まだ急騰に出会っていません。持ち続けても全く下がらないので、誰かが買い集めていそうな気配はあります。

失敗談
 多くの人は他人の失敗談を見て楽しむそうなので、私が半年間で経験した一番の暴落を紹介します。
bandicam 2020-12-05 15-18-12-318

 9月末に大陰線が2本出ていますが、これにきれいに巻き込まれました。朝の寄り付きで成行注文して入り、会社の業務を熟して休憩時間にチャートを見ると下がってました。

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 この銘柄はデジタルトランスフォーメーション関連の分野で業績もよく、1年で数倍に成長していました。会社員をしながら朝に100株買って売り指値を置いておくだけで1日に5万円以上稼げるちょろい株だったのですが、スイングトレーダーによる信用買い残がたまり、機関の空売り被害にあいました。この3日間で50万くらい損失を出しました。給料2ヶ月分が飛びました。その間頑張って持っていたのに損切りしたところが当時の底。

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 この暴落で学んだことは多く、非公開で書いている株ノートに当時の心境と対策が書き留めてあります。これからはこのときの私みたいな片手間トレーダーを焼く方向でトレードすると決心しました。このときからザラ場を見れない状態でトレードすることはなくなりました。この銘柄のおかげで、下落トレンドでもリバウンドを狙って利益を上げられるトレードができるようになりました。この日の経験は一生モノです。

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 それと、この会社の株主総会に招待されました。コロナウイルスの感染拡大防止として、ZOOMで行うとのことです。わざわざ出向かなくて良くなったのは、感染症の副産物としていいものを残してくれました。

 もうひとつ失敗例を上げます。株を翌営業日に持ち越すと、ギャップダウンで始まることがあります。YouTuberの最大手の事務所であるUUUMがわかりやすいので例に見てみましょう。
bandicam 2020-12-05 15-19-33-112
 10月14日に決算発表がありました。新型コロナウイルスの影響をもろに受け、純利益が2200万円と前年同月比93%減になってました。

UUUMの決算書を見た人「うーむ...」
(これが言いたかっただけやろ)

 このように決算の悪材料でチャートに窓が開くと、どう足掻いても取り返しづらいところがあります。私はトレードする銘柄は持ち越ししないと決めています。特に決算跨ぎをするのはかなりリスクがあるので、好決算が出ると見ていても、半分は利確するようにしています。
 
終わりに
 今の私のトレードスタイルに落ち着くまでに様々な失敗を経験しました。今はまだ資金が小さいので失敗したところで株以外の収入ですぐに取り返せる範囲にありますが、今後複利のちからを使って大きな資金を動かしたとき、このような大陰線を回避できるように知識を蓄えていきたいです。株は経験が物を言う世界らしいので。ここまで株に時間を割いてきても、努力を簡単に裏切ってくるので本当にわからないものです。まだ半年なので未熟者ですけどね。

 先ほど保有銘柄は紹介できないと注意書きをしましたが、現在は現物株を6種類保有しています。中長期投資銘柄と仕手株待ち伏せの2種類です。次回は爆益報告をするのでお楽しみにと言いたいところですが、得した話は需要がなさそうなので私の株ノートに留めておきます。

最後になりますが、投資やトレードは自己責任でお願いします。

明日のMicro Mouse Advent Calendar 2020は・・・誰か登録してください!!

2019年クラシックマウス 華金(HuaJin)について

 2019年クラシックマウスは華金で出場しました。台湾大会に向けて製作した機体で、現地の人が読みやすいように中国語読みでHuá jīn(ファージン)と名付けました。よく"かきん"とか"はなきん"と呼ばれたりしますが、日本語読みでも"かきん"は間違いなので気をつけてください。それと友人から「マシン名が酒カスで草」というリプも飛んできましたが、華の金曜日という意味でもありません。
 このマシンは今年の2月に基板を製作し、5月頃には走っていた機体です。今回の記事は、このマシンについてまとめます。

Huajin_全体 v18_2

Huajin_全体 v18_4
2セル時代のマシン(初期のデザイン)

スクリーンショット (41)
3セル化したマシン(ファンを薄くしてファンマウントも変更)

DzYVCv2U8AAMogl
Eagleで基板設計

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Elecrowで基板を発注

目次
  • マシンスペック
  • 華金の戦績
  • 3Dビューア
  • MAXパラメータ
  • 走行動画
  • 壁センサー配置
  • キャンバー角
  • 吸引スカート
  • フェイルセーフ
  • 加速度を複数設定する
  • さいごに


マシンスペック
EGF4BM-UcAE0LUO
  • 機体名:華金(ファージン)
  • 基板:0.8mm
  • マイコン:RX631 (100pin)
  • 壁センサー:IR発光ダイオード SFH-4550
  •       IRフォトトランジスタ ST-1KL3A
  • ジャイロセンサー:MPU6000
  • エンコーダ:AS5145B
  • モーター:駆動用 φ8.5, 20mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  •      吸引用 φ10, 15mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  • モータードライバ:駆動用 DRV8835
  •          吸引用 AO3400
  • ギヤ(モジュール0.3):スパー70枚歯, ピニオン15枚歯, エンコーダ38枚歯
  • キャンバー角:3度(ネガティブ)
  • バッテリー:LiPo 3S(12.6V)150mAh 30C
  • 重量(g)73
  • サイズ(mm):L100, W68, H25

華金の戦績
  • 金沢草の根大会 クラシック競技 第3位
  • 関西地区大会 クラシック競技 第4位
  • 台湾大会 クラシック競技 準優勝
  • 東日本地区大会 クラシック競技 第3位
  •         支部サーキット競技 準優勝
  • 全日本学生大会 クラシック競技 特別賞
  • 九州地区大会 クラシック競技 優勝
  • 中部地区大会 クラシック競技 特別賞
  • 全日本大会 クラシック競技 優勝

3Dビューア

※基板厚の変更が難しかったため、実機は0.8mmですがCAD上は1.6mmになっています。

MAXパラメータ
※このパラメータは本番では使用したことがありません。全日本大会で使用したパラメータはこちらに記載しております。

 加速度(加速):0-3.8m/s:28 [m/ss]
       :3.8-4.5m/s:23 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:17 [m/ss]
       :5.5-6.2m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):28 [m/ss]
 最高速度:6.2 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:2.0 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:2.0 [m/s]


走行動画
 金沢月例会でわざわざ迷路を出していただきまして、全日本大会本番では使うことができなかったMAXパラメータで走らせました。

 動画を見ると最初の旋回からずれていますし、よくこれで走れているなと私も不思議に思っています。今年は壁切れ補正を更に強化しました。横壁センサーが増えたこともあり、斜めのときと直線のときとでセンサーを変えて壁切れを見ています。
 また、斜めや櫛でも位置補正するこはできますが、パラメータを上げた時にその不安定な補正をしようとしても、姿勢制御するだけの電源の余裕がないためゲインを弱めに設定しています。その結果、パラメータを上げた際には斜めや櫛では殆ど中心を走っていません。ほぼ壁切れ補正角度補正で走っています。


センサー配置
 よく質問される点ですが、横壁センサは発光LED2つに対して受光は1つしかありません。これは発光タイミングを切り替えることによって、擬似的に2つのセンサーとして使用しています。
bandicam 2019-12-20 16-04-30-142
 複数センサーがあると壁切れ位置を変えることができます。それと、同じ角度のセンサーが2つあることで、センサー値の差分を取って柱の検出がしやすくなります。設計上は15mmずらして配置しましたが、実際には12mmしかズレていませんでした。これはフォトトランジスタの半値角が狭すぎたためと考えています。実際のところ、センサーが複数あってもソフトのみで対応できることが殆どなので、新作では横壁センサーは1つずつに戻そうと思っています。


重心バランス
 去年のマシン紹介記事でも述べましたが、2輪マウスはとにかく重心バランスが大切です。4輪だと重心が多少前後してもどちらかのタイヤには荷重が乗ってくれますが、2輪だとバランスが狂った分はすべてグリップ抜けとなり、直進安定性や旋回性能が悪くなります。前作のマシンを参考に、重量配分を考えて設計した結果が以下の動画です。
 重心が完全にタイヤ上に来て、シーソー状態にすることに成功しました。ここまで完璧に重心を乗せられると、非吸引でも旋回性能は変則四輪よりもポテンシャルが高いはずです。
この動画ではかなり車高が上がっているように見えますが、吸引スカートをつけると丁度いい車高になります。吸引スカートも、タイヤから一対一の長さになるように設計しているため、吸引力はほぼ全てタイヤに乗せられるように工夫しています。


低イナーシャ
bandicam 2019-12-20 16-52-13-049
 重たい部品をひたすら旋回中心に寄せました。よくタイヤとエンコーダを同じ軸に固定されているマウスを見ますが、エンコーダは一番軽い部品なので、ギヤを追加してでも外に出して重い部品を真ん中に寄せます。私のマシンの場合、一番重いのはバッテリ(150mAh, 3S)なので旋回軸上に持ってきました。新作マウスでは横壁センサーを1つずつに戻そうと考えているのも、低イナーシャ化を図るためです。


キャンバー角
 去年も書きましたが、今年感じたことを追記しようと思います。
 まず、去年までは高速域の直進安定性が悪くなるのはキャンバー角をつける以上やむを得ないものと考えていましたが、それは壁補正のD項が悪さをしてました。なぜか壁を追従させるPIDの計算を変なところに書いていて、P制御+不安定項を入れて制御していました。正しく1ms割り込みで計算させたところ、きれいに壁を追従してくれるようになりました。大会では最高6m/sで走らせましたが、全くブレることなく中心を走っていました。
 次に、キャンバー角をつける利点について追記です。左旋回時のタイヤの負荷を図に示します。
bandicam 2019-12-20 21-00-43-506
 重心は地面よりも必ず上にあるため、左旋回時は右のタイヤに大きく荷重が乗ります。地面と垂直方向にかかる力は、自重と吸引力です。地面と平行に掛かる力は遠心力になります。その力の合成は図に示す通り斜めになります。よってタイヤもこのベクトルに合わせて斜めにし、力の合成とタイヤを垂直に近づけることで旋回時にニュートラルキャンバーよりも大きなグリップを発生させることができるはずです。ちなみに、私がなぜ3度に拘っているかというと、R35GTRが標準で3度ついているらしいというただそれだけの理由です。今度詳しく計算してみるつもりですが、あまり角度をつけても加速度時にグリップが出なくなるので兼ね合いが難しいところです。
 また、キャンバー角をつけると車高が狂います。どこを軸にして3度付けるかによっても変わってくるので、3DCADを用いて車高を確認することをオススメします。


吸引スカート
DSC_19742
 吸引スカートは前作同様2層構造になっています。1次スカートは紙フェノールを0.7mm厚にCNCで薄くしてから外形を切削しました。ここで注意点ですが、基板と1次スカートと2次スカートを接着する厚みも計算に入れないといけません。私がよく使用している両面テープのナイスタックは、厚さが0.15mmあるため、2枚使うと0.3mm厚となり無視できない厚みが生じます。これに全日本の2周間前に気づき、車高が設計値よりも低いことを知りました。今まで段差が越えられないのは2輪のせいにしてきましたが、段差が0.3mmでもあるとタイヤが浮いてしまいフェイルセーフがかかっていました。
 1次スカートが1mmになり、2次スカートは0.1mmで合計1.1mmのスカートになります。この厚みは車高に効いてくるので、初めて吸引機構を搭載する人は気をつけてください。
 2次スカートの素材はまだ試行錯誤しています。去年は秋月の透明なチャック袋を使用していましたが、今年はN先生が昔使っていたという情報を聞きつけて秋月の帯電防止青色チャック袋を使用してみました。こちらのほうが薄い素材で吸引力が安定しました。もっといい素材がないか日常的に探し回っています。柔らかく薄い素材が適していますが、簡単に捲れるものは使えません。


フェイルセーフ
 吸引マウスを作る前にフェイルセーフは確実なものを実装するべきです。モータの定格を無視した設計をしていると、タイヤがロックしたり無負荷で高速回転させると確実にモータの寿命を縮めます。特にモータの許容回転数を超えるとブラシが激しく摩耗するため、そのために入れているフェイルセーフをひとつ紹介します。
 モータが全力で回転してしまう一番の要因は、角速度フィードバック中に機体を持ち上げたり目的の動作ができなくなった際に暴走やベイブレード(高速回転)することが殆どです。これは全力で機体を回転させようとタイヤが左右逆向きに回転している状況です。よって、左右のタイヤの速度差が一定値以上になったらフェイルセーフをかけるという処理を入れれば良いです。具体的には、左右の速度差が50ms間9m/s以上になったらフェイルセーフをかけるように設定しています。
 試走会で機体を持ち上げたらビュンビュン言ってるマシンが多く見られたため、これは公開しようと思いました。是非参考にしてみてください。


加速度を複数設定する
bandicam 2019-12-20 16-23-46-255
画像はクリックすると拡大表示します。
 この図は初速0から16区画直進させて停止した際の速度追従とモータの印加電圧のグラフです。0.7秒の間に起きた現象を1msごとに記録しています。
 加速時の加速度は三段階に分けています。
0.0-4.0m/s:28 [m/ss]
4.0-5.0m/s:20 [m/ss]
5.0-6.0m/s:15 [m/ss]
減速時は一律に0.0-4.0m/sの加速度を使用しています。ここまで加速度が上がると、電源の余裕ではなくタイヤのグリップが危ういため、グラフ的に余裕があっても迂闊に加速度を上げられません。
 加速度を複数設定すると、デューティ100%近くを維持することができるようになります。バッテリ電圧よりモータの目標印加電圧が多少オーバーしても速度は追従するため、そこまで神経質になる必要はありません。バッテリ電圧は加速時に一気に落ち込むので、モータの目標電圧と一緒に表示させることをオススメします。ここまで落ち込むのは、モータの端子間抵抗が小さすぎることと、このバッテリは3年前にAliExpressで買って以来ハードな使い方をし続けているせいもあります。
 それとモータの定格は3倍からと言われますが、許容回転数はなるべく守ったほうが良いです。大体高級モータだと12000rpmから14000rpmが主流です。私が使用しているドローン用のモータは許容回転数が高く、6m/s時に22000rpmくらいで回しています。高級モータよりもドローン用が熱いということは前から感じており、3年間同じ種類のモータを使い続けてきました。
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 以下まとめです。
  • モータの定格3倍以上でデューティ100%付近を維持する
  • モータの許容回転数は守ったほうがいい(守ってるとは言ってない)
  • バッテリ電圧の落ち込みに注意
  • バッテリ電圧よりモータの印加電圧が多少オーバーしても速度は追従する


さいごに
 キャンバー族増えてほしい!

以上です。

全日本マイクロマウス大会2019クラシック競技優勝!

この記事はMicro Mouse Advent Calendar 2019の3日目の記事です。

 昨日はtanihoさんの2019年に買って良かったものについてでした。ディスプレイアームは私も今年購入して満足しているので、ディスプレイの高さや角度に不満がある人は購入の検討されることをオススメします。
 ちなみに私が今年買ってよかったと思うものは寝袋です。研究室でも車の中でもいろいろな場所で快適な睡眠を取ることができるため、寝落ちギリギリまで作業に務めることができます。


 さて、今年の全日本マイクロマウス大会にはI.Sysから11台のマシンが出場しました。
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出場した競技は以下のとおりです。
・マイクロマウス(ハーフサイズ)0台
・クラシックマウス 1台
・ロボトレース 10台

 うちのサークルからマウスが1台しか出場できなかったのは私も責任を感じています。趣味のロボット開発はスケジュールを組むのが極めて難しく大会までに最善を尽くすのは至難の業です。日常生活を送るだけでも精一杯だというのに、モチベーションに左右され調子がいいときと悪いときの差が激しく、なかなか思ったようには進みません。そんな中で後輩たちにモチベーションを与えるのが先輩の仕事だと思っています。
 私にモチベーションを与えてくれたのはInpさんそらさんに東日本地区大会で0.1秒未満の差で3位にされられたことです。おかしい、去年フレッシュマンだった方に勝てない。しかしもう少しハードを改良すれば勝てそうだということでマウスを魔改造する決断をしました。
 改造点はリポバッテリーを2Sから3S化したことです。実はモータードライバの最大定格が11-12Vで、リポ3Sの満充電電圧12.6Vでは耐圧オーバーしてしまいます。何年か前にあこちゃんが動作確認済みということで、電源装置で恐る恐る12.8Vをかけて動かしてみたところ、特に発熱もなく問題なく動いていたのでそのまま3S化しました。
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 壊れる部品はモータードライバとモーターくらいなので、焼けてもすぐに取り替えればいいだけの話です。結局、駆動用のモータードライバとモーターは今シーズン無事でした。
 学生大会のサーキットの試走でぶつかった衝撃により、吸引モーターの軸が曲がりロックして吸引用のMOS-FETが燃えることはありました。試走・本番で吹っ飛んだ原因は、吸引モーターの印加電圧を2Sのときのまま変更を忘れており、吸引力が低い状態で5.5m/s 26m/ssの減速をしたところ、グリップ抜けで壁に当たって吸引モーターの軸がやられました。

 3S化するにあたり、バッテリーの置き場が困りますね。2Sでピッタリになるようにマシン設計を行っているので、もう一つバッテリーを置くには吸引ファンの上になってしまいます。そこで、吸引モーター用のマウントを少し変更して、申し訳程度の低重心化を図りました。
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 そして完成したのがこのマシン 華金(ファージン)です。
EGF4BM-UcAE0LUO
 やっぱり基板から作り直したいなと思いながらも、そんなに時間が残ってないのでこのまま調整することにしました。
 触ってすぐにわかった。宇宙人レベルマイクロマウス語録)が見えてきたなと。

それでは例年通り全日本大会で使用したパラメータを公開しようと思います。

1走目:探索走行
 加速度:15.0 [m/ss]
 直進速度:1.0 [m/s]
 旋回速度:1.0 [m/s]

2走目:最短走行 (学生上位勢、海外勢対抗パラメータ)
 加速度(加速):0-3.8m/s:20 [m/ss]
       :3.8-4.8m/s:18 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:15 [m/ss]
 加速度(減速):20 [m/ss]
 最高速度:5.5 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.1 [m/s]
      in45deg:1.75 [m/s]
      out45deg:2.0 [m/s]
      in135deg:1.7 [m/s]
      out135deg:1.7 [m/s]
      180deg:1.8 [m/s]
      V90deg:1.7 [m/s]

3,4,5走目:最短走行 (宇宙人対抗パラメータ)
 加速度(加速):0-3.8m/s:25 [m/ss]
       :3.8-4.8m/s:18 [m/ss]
       :4.8-6.0m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):25 [m/ss]
 最高速度:6.0 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:1.9 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:1.9 [m/s]



 4走目でクラッシュしてパラメータを下げようかと思いながらも、落ち着いてマシンの様子を見渡すと吸引スカートが捲れている事に気づきました。すぐに軽微な修正をして同じパラメータで走らせたところ無事完走してくれました。いつから捲れていたのだろうか...

 MAXパラメータは使わなかったので公開する必要ないかと思いますが、優勝したので参考までに載せておきます。

MAXパラメータ
 加速度(加速):0-3.8m/s:28 [m/ss]
       :3.8-4.5m/s:23 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:17 [m/ss]
       :5.5-6.2m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):28 [m/ss]
 最高速度:6.2 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:2.0 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:2.0 [m/s]

 いかがでしょうか。対策されそうで怖いです。私は今年の地区大会をなるべく多く周り、上位勢の動画をたくさん撮ってきました。そして自分の走行と並べて比較し、パラメータを練りました。YouTubeなどに走行動画が上がっていますが、数年前の動画を見ても皆さんどんどん早くなっているのであまり当てになりません。常に最新の情報収集が最終出走でない出場者の優勝の鍵だと思います。最後は心理戦です。
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 また、2020 APEC micromouse contestに招待を頂きました。毎年クラシックマウスの上位入賞者が招待される大会のようで、とても名誉高いことです。3月16日に行われるそうなので、その日までにAPECルールに合わせた最善の走行ができるように精進してまいります。

 それと、今年注力したことは時間評価経路導出の実装です。実は全日本大会直前までデバッグしていました。今年の全日本大会の迷路は、経路導出を試される迷路でとても心配していましたが、似たような時間ベース経路導出をされているU氏と同じ経路を通れていたようで安心しました。次の課題は導出時間です。現状だと10秒ほどかかってしまい、最短走行を走らせる前に謎の待機時間が発生しています。これはAPECまでに処理の高速化ができればと思います。
 また、ハードにも色々な改善点があるので、それは次のマシン紹介記事で書こうと思います。できれば3月のデンソーカップまでに製作して、1週間後のAPECは新作で出場したいです。

 私は来年3月で学生生活が終わり、マイクロマウスは一段落かなと言っていましたが、N社長から「勝ち逃げは駄目ですよ?」と言われてしまったので、連勝目指して続けようと思います。半年前までは優勝争いなんてとんでもないもので、少しでも自分が参加した痕跡として爪痕が残せればいいなと思っていただけなのですが。

 長くなりましたが、今シーズンもお疲れさまでした。また来年、対戦よろしくおねがいします。


 明日のMicro Mouse Advent Calendar 2019H.S.さんで大会の感想・その他あったことです。よろしくおねがいします。
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