A's LabⅡ

アスラボと読みます。マイクロマウスやロボトレースの大会に向けて、機体の構造設計・回路設計・基板設計・プログラミングを中心に行っています。趣味のパワーエレクトロニクス系では、テスラコイルやコイルガンなどを製作・評価・改善を繰り返しています。興味を持って頂ければ幸いです。アドバイスや質問、感想などございましたらコメント欄にお願いします。 また、私のブログは背景が暗めの設定を想定しているため、白背景では文字が読みづらい点があります。

マイクロマウス・ロボトレース

マイクロマウスにおける安全文化

 この記事はマイクロマウス Advent Calendar 2021の18日目の記事です。昨日はF.Nakashimaさんの冷え症とのたたかいでした。
 私も冬になると寒さに凍えているので、防寒対策をいろいろ紹介していただけてありがたいです。防寒グッズで思い出しましたが、スマホにヒーターアプリがありました。CPUとGPUをフルキャパで実行させ、デバイスを加熱する危ないアプリです。明らかにスマホの寿命が縮むので、スマホを長く使おうと考えている人には向いていません。最終手段として頭の片隅にでも置いておくと、助かるときがあるかもしれません。

はじめに
 今回は、マイクロマウスにおけるセーフティーカルチャーについて語ろうと思います。事故を未然に防ぎ、事故が起きてしまったら被害を最小限に抑え、異常が発生した際には安全動作に切り替える。そんな設計をしましょうというお話です。マイクロマウスを例にして書きますが、任意の開発にかかわる人全般に通ずる話かと思います。是非一読いただき、追加事項などありましたらコメントいただけると幸いです。
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↑クラッシュして壊れたマウスの様子

 ※この記事は電車の中で書いています。出先なので画像と動画の追加が困難です。後日追加しますのでご了承ください。

目次
はじめに
ヒューマンエラー[human-error]
フールプルーフ[fool-proof]
フェイルセーフ[fail-safe]
フェイルソフト[fail-soft]
余談(バッテリーの極性をなくす方法)
さいごに
参考文献

ヒューマンエラー
 人間はどうしようもない間違えをします。寝ぼけていたり、徹夜後の昼だったり、ぼーっと生きていたりするとよく起こるのがヒューマンエラー(人為的ミス)です。設計時には操作するときに気を付けようと思っていても、実際使用するときには気が緩んで失敗します。それはいくら説明書に丁寧な注意書きをしようと、目の前に答えが書いてあろうと、何度も同じことをやっていても試行回数が増えると人間の行動は定まりません。ヒューマンエラーは起きるものとし、先回りして手を打っておく必要があります。

フールプルーフ
 人為的ミスは防ぐことができないので、起きうる事故を未然に対策するような設計をフールプルーフ設計と言います。
 例えばバッテリーの逆差しです。片方向にしか挿せないコネクタにすればいいのですが、利便性とスペースの問題で向きのないコネクタを使う場合もあります。自分で使うものだから、気を付けて使えば問題がないとして進めてしまいがちですが、なぜか逆差しします。これは確率が低くても試行回数を重ねるとやってしまうものです。この対策として、逆差しできないコネクタを使用するか、その向きでしか挿さらない筐体設計をするか。この設計思想がフールプルーフです。
 ちなみに私のマウスでは後者の「その向きでしか挿さらない筐体設計」で対策しています。

画像は後日追加します。

バッテリーのケーブルは短ければ短いほど良いです。電流を多く流すには太いケーブルを使用するので、重量と配線抵抗を小さくするために短いほうが有利です。ここまで短くすると指が入らないため、バッテリー用のコネクタを使用すると挿抜が硬くて使い勝手が悪くなります。バッテリーを変えるたびに強い負荷を与えてしまうのはよくないため、私は普通のピンヘッダを使用しています。競技用マウスでは定格は無視して問題ありません。(私はモータードライバの最大定格電圧も無視しています) 

フェイルセーフ
 事故・誤動作した際に、被害を最小限に抑えて安全に停止させる設計をフェイルセーフといいます。
 バッテリーの逆差しでいうと、逆差ししてしまった際に電流を流さないようにする設計です。フールプルーフ設計だけだと、その状態が崩れた時に逆差ししてしまうかもしれません。そんな時に役立ちます。ちなみに私のマウスには逆差しのフェイルセーフは入っていません。これを実装しようとすると無駄に部品を追加しないといけなくなり、重量と内部抵抗が上がります。競技用なのでここは割愛しています。
 他にはクラッシュした時に動作を止めるということがあります。マイクロマウスの公式ルール3-5には、「競技委員長が許可するまで走行中のマウスに触れることができない(意訳)」とあります。マウスが動いているときは人が触れてはいけません。許可なしに触れた場合は迷路情報をすべて消去しないといけなくなります。このリスクを回避するため、マウスは異常を自分で判断し、適切に止まるように設計することが好ましいです。それに、最短走行時にクラッシュした場合、なるべく早く救助したいものです。許可される前に触れてしまい、探索のやり直しになるのは避けたいですね。
 私が実装しているフェイルセーフをひとつ紹介すると、左右のタイヤの回転速度の差分を1msごとに監視して、一定速度を超えたらフェイルセーフが働くようにしています。走行中は常に角度補正を行っているため、タイヤが片輪でも浮けば全力でホイルスピンしようとします。走行時はフェイルセーフがかからず、タイヤが少し浮いたら止まる閾値に調整するといいです。多少壁にぶつかっても止まらず、本当にダメな当たり方をした時だけ止めるような閾値を探してください。

フェイルソフト
 異常が発生した際に、安全動作に切り替える設計をフェイルソフト設計といいます。
 バッテリーの逆差しでいうと、逆にさしても使えるようにしておく設計です。これも先述した通り部品点数と内部抵抗が上がってしまうため、私は使用していませんが、第三者に渡す回路ではこの設計になっているとトラブルが少ないと思います。
 フェイルソフトで分かりやすいのは、ロボトレースでコーナーマーカーを読み違えた時の対応です。マーカーを読んだときに曲率を記録して加減速走行をするタイプのマシンでは、マーカーセンサーの誤動作、読み飛ばしは致命的です。直線なのにゆっくり走ったと思えば曲率の小さいところで加速してコースアウト。それを防ぐには、マーカーまでの距離が記録と明らかに違った場合、その後のパラメータをすべて最大曲率がくるものとして走行します。完走を目的とするのであればこのフェイルソフトはかなり効果的で、冒険もできるし読み飛ばしてもゴールできます。タイヤに埃がつくまでは高いパラメータで走れますが、走行しているうちにスリップしやすくなり、最後のほうで読み飛ばしてゴールできないことが多々あるので、理にかなっています。
 もう少し改良すると、マーカーまでの距離が明らかに違ったらマーカーを読み飛ばしたと判断し、仮想マーカーで対応すると、マーカーが読めなくても加減速走行を継続することができます。私は一時期この方法を導入しましたが、誤動作が多くやめました。今流行りのコースを二次元マップにおいて加減速させた方がいいですね。マイコンのRAM容量が大きければ60mのコースでも数cmおきにプロットすることができます。

余談
 終始バッテリーの逆差しを例にそれぞれの設計についてお話ししました。そこで、マウスには向いていないけどとても簡単に極性をなくす方法も紹介します。それは交流から直流に変換するブリッジダイオードを用いる方法です。1つの部品を挟めば極性がなくなります。しかし、順方向電圧が1V以上あって無駄なのでマウスにはお勧めできません。車のLEDバルブにたまに採用されていたりします。電圧に余裕があり、大した電流を流さない趣味レベルの回路にはあると便利な時がくるかもしれません。
 もしマウスに電源を逆差ししてしまった場合、DCDC、LDOは熱々になり、マイコンはお亡くなりになり、エンコーダーも壊れる可能性があります。マシンが丸々死ぬかもしれない致命的な事故なので、フールプルーフ設計を必ず行ってください。

さいごに
 いかがだったでしょうか(言ってみたかった)。この記事では安全にマウスをゴールまで導くための設計思想を紹介しました。特に設計者と使用者が違う場合、設計者からしたら考えもしないようなことを平然とやってきます。人に渡すものは様々な対策をしておきましょう。マイクロマウスの場合はキットを除いて自分で作って自分で動かすことがメインなので、製作者の勘のようなものがあり、なぜそれで壊さないのか理解不能なマシンもあります。競技用の機体はルールに反さない限り攻めた設計の方が速いマシンが作れます。リスクに見合うだけの優位性があるならば、私は攻めた設計の方を行います。少し手間をかければ今後のリスクを減らせ、副作用が少ない対策なら積極的に取り入れていきましょう。

 明日の記事はアドベントカレンダーの主催者である、そらさんです。タイトルは未定のようです。毎年アドベントカレンダーを作成していただきありがとうございます!ブログは気合を入れないと更新できないので、このような機会を設けていただき感謝しています。
 今日は学生大会ですね。コロナの影響でいろいろな制約がありますが、それを含めて楽しんで挑んでください!

参考文献
https://www.i-learning.jp/topics/column/useful/foolproof.html
https://medium-company.com/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%95%E3%81%A8%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84/
https://japan.zdnet.com/glossary/exp/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88/?s=4
https://www.ntf.or.jp/?page_id=118
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1062391135

2019年クラシックマウス 華金(HuaJin)について

 2019年クラシックマウスは華金で出場しました。台湾大会に向けて製作した機体で、現地の人が読みやすいように中国語読みでHuá jīn(ファージン)と名付けました。よく"かきん"とか"はなきん"と呼ばれたりしますが、日本語読みでも"かきん"は間違いなので気をつけてください。それと友人から「マシン名が酒カスで草」というリプも飛んできましたが、華の金曜日という意味でもありません。
 このマシンは今年の2月に基板を製作し、5月頃には走っていた機体です。今回の記事は、このマシンについてまとめます。

Huajin_全体 v18_2

Huajin_全体 v18_4
2セル時代のマシン(初期のデザイン)

スクリーンショット (41)
3セル化したマシン(ファンを薄くしてファンマウントも変更)

DzYVCv2U8AAMogl
Eagleで基板設計

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Elecrowで基板を発注

目次
  • マシンスペック
  • 華金の戦績
  • 3Dビューア
  • MAXパラメータ
  • 走行動画
  • 壁センサー配置
  • キャンバー角
  • 吸引スカート
  • フェイルセーフ
  • 加速度を複数設定する
  • さいごに


マシンスペック
EGF4BM-UcAE0LUO
  • 機体名:華金(ファージン)
  • 基板:0.8mm
  • マイコン:RX631 (100pin)
  • 壁センサー:IR発光ダイオード SFH-4550
  •       IRフォトトランジスタ ST-1KL3A
  • ジャイロセンサー:MPU6000
  • エンコーダ:AS5145B
  • モーター:駆動用 φ8.5, 20mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  •      吸引用 φ10, 15mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  • モータードライバ:駆動用 DRV8835
  •          吸引用 AO3400
  • ギヤ(モジュール0.3):スパー70枚歯, ピニオン15枚歯, エンコーダ38枚歯
  • キャンバー角:3度(ネガティブ)
  • バッテリー:LiPo 3S(12.6V)150mAh 30C
  • 重量(g)73
  • サイズ(mm):L100, W68, H25

華金の戦績
  • 金沢草の根大会 クラシック競技 第3位
  • 関西地区大会 クラシック競技 第4位
  • 台湾大会 クラシック競技 準優勝
  • 東日本地区大会 クラシック競技 第3位
  •         支部サーキット競技 準優勝
  • 全日本学生大会 クラシック競技 特別賞
  • 九州地区大会 クラシック競技 優勝
  • 中部地区大会 クラシック競技 特別賞
  • 全日本大会 クラシック競技 優勝

3Dビューア

※基板厚の変更が難しかったため、実機は0.8mmですがCAD上は1.6mmになっています。

MAXパラメータ
※このパラメータは本番では使用したことがありません。全日本大会で使用したパラメータはこちらに記載しております。

 加速度(加速):0-3.8m/s:28 [m/ss]
       :3.8-4.5m/s:23 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:17 [m/ss]
       :5.5-6.2m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):28 [m/ss]
 最高速度:6.2 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:2.0 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:2.0 [m/s]


走行動画
 金沢月例会でわざわざ迷路を出していただきまして、全日本大会本番では使うことができなかったMAXパラメータで走らせました。

 動画を見ると最初の旋回からずれていますし、よくこれで走れているなと私も不思議に思っています。今年は壁切れ補正を更に強化しました。横壁センサーが増えたこともあり、斜めのときと直線のときとでセンサーを変えて壁切れを見ています。
 また、斜めや櫛でも位置補正するこはできますが、パラメータを上げた時にその不安定な補正をしようとしても、姿勢制御するだけの電源の余裕がないためゲインを弱めに設定しています。その結果、パラメータを上げた際には斜めや櫛では殆ど中心を走っていません。ほぼ壁切れ補正角度補正で走っています。


センサー配置
 よく質問される点ですが、横壁センサは発光LED2つに対して受光は1つしかありません。これは発光タイミングを切り替えることによって、擬似的に2つのセンサーとして使用しています。
bandicam 2019-12-20 16-04-30-142
 複数センサーがあると壁切れ位置を変えることができます。それと、同じ角度のセンサーが2つあることで、センサー値の差分を取って柱の検出がしやすくなります。設計上は15mmずらして配置しましたが、実際には12mmしかズレていませんでした。これはフォトトランジスタの半値角が狭すぎたためと考えています。実際のところ、センサーが複数あってもソフトのみで対応できることが殆どなので、新作では横壁センサーは1つずつに戻そうと思っています。


重心バランス
 去年のマシン紹介記事でも述べましたが、2輪マウスはとにかく重心バランスが大切です。4輪だと重心が多少前後してもどちらかのタイヤには荷重が乗ってくれますが、2輪だとバランスが狂った分はすべてグリップ抜けとなり、直進安定性や旋回性能が悪くなります。前作のマシンを参考に、重量配分を考えて設計した結果が以下の動画です。
 重心が完全にタイヤ上に来て、シーソー状態にすることに成功しました。ここまで完璧に重心を乗せられると、非吸引でも旋回性能は変則四輪よりもポテンシャルが高いはずです。
この動画ではかなり車高が上がっているように見えますが、吸引スカートをつけると丁度いい車高になります。吸引スカートも、タイヤから一対一の長さになるように設計しているため、吸引力はほぼ全てタイヤに乗せられるように工夫しています。


低イナーシャ
bandicam 2019-12-20 16-52-13-049
 重たい部品をひたすら旋回中心に寄せました。よくタイヤとエンコーダを同じ軸に固定されているマウスを見ますが、エンコーダは一番軽い部品なので、ギヤを追加してでも外に出して重い部品を真ん中に寄せます。私のマシンの場合、一番重いのはバッテリ(150mAh, 3S)なので旋回軸上に持ってきました。新作マウスでは横壁センサーを1つずつに戻そうと考えているのも、低イナーシャ化を図るためです。


キャンバー角
 去年も書きましたが、今年感じたことを追記しようと思います。
 まず、去年までは高速域の直進安定性が悪くなるのはキャンバー角をつける以上やむを得ないものと考えていましたが、それは壁補正のD項が悪さをしてました。なぜか壁を追従させるPIDの計算を変なところに書いていて、P制御+不安定項を入れて制御していました。正しく1ms割り込みで計算させたところ、きれいに壁を追従してくれるようになりました。大会では最高6m/sで走らせましたが、全くブレることなく中心を走っていました。
 次に、キャンバー角をつける利点について追記です。左旋回時のタイヤの負荷を図に示します。
bandicam 2019-12-20 21-00-43-506
 重心は地面よりも必ず上にあるため、左旋回時は右のタイヤに大きく荷重が乗ります。地面と垂直方向にかかる力は、自重と吸引力です。地面と平行に掛かる力は遠心力になります。その力の合成は図に示す通り斜めになります。よってタイヤもこのベクトルに合わせて斜めにし、力の合成とタイヤを垂直に近づけることで旋回時にニュートラルキャンバーよりも大きなグリップを発生させることができるはずです。ちなみに、私がなぜ3度に拘っているかというと、R35GTRが標準で3度ついているらしいというただそれだけの理由です。今度詳しく計算してみるつもりですが、あまり角度をつけても加速度時にグリップが出なくなるので兼ね合いが難しいところです。
 また、キャンバー角をつけると車高が狂います。どこを軸にして3度付けるかによっても変わってくるので、3DCADを用いて車高を確認することをオススメします。


吸引スカート
DSC_19742
 吸引スカートは前作同様2層構造になっています。1次スカートは紙フェノールを0.7mm厚にCNCで薄くしてから外形を切削しました。ここで注意点ですが、基板と1次スカートと2次スカートを接着する厚みも計算に入れないといけません。私がよく使用している両面テープのナイスタックは、厚さが0.15mmあるため、2枚使うと0.3mm厚となり無視できない厚みが生じます。これに全日本の2周間前に気づき、車高が設計値よりも低いことを知りました。今まで段差が越えられないのは2輪のせいにしてきましたが、段差が0.3mmでもあるとタイヤが浮いてしまいフェイルセーフがかかっていました。
 1次スカートが1mmになり、2次スカートは0.1mmで合計1.1mmのスカートになります。この厚みは車高に効いてくるので、初めて吸引機構を搭載する人は気をつけてください。
 2次スカートの素材はまだ試行錯誤しています。去年は秋月の透明なチャック袋を使用していましたが、今年はN先生が昔使っていたという情報を聞きつけて秋月の帯電防止青色チャック袋を使用してみました。こちらのほうが薄い素材で吸引力が安定しました。もっといい素材がないか日常的に探し回っています。柔らかく薄い素材が適していますが、簡単に捲れるものは使えません。


フェイルセーフ
 吸引マウスを作る前にフェイルセーフは確実なものを実装するべきです。モータの定格を無視した設計をしていると、タイヤがロックしたり無負荷で高速回転させると確実にモータの寿命を縮めます。特にモータの許容回転数を超えるとブラシが激しく摩耗するため、そのために入れているフェイルセーフをひとつ紹介します。
 モータが全力で回転してしまう一番の要因は、角速度フィードバック中に機体を持ち上げたり目的の動作ができなくなった際に暴走やベイブレード(高速回転)することが殆どです。これは全力で機体を回転させようとタイヤが左右逆向きに回転している状況です。よって、左右のタイヤの速度差が一定値以上になったらフェイルセーフをかけるという処理を入れれば良いです。具体的には、左右の速度差が50ms間9m/s以上になったらフェイルセーフをかけるように設定しています。
 試走会で機体を持ち上げたらビュンビュン言ってるマシンが多く見られたため、これは公開しようと思いました。是非参考にしてみてください。


加速度を複数設定する
bandicam 2019-12-20 16-23-46-255
画像はクリックすると拡大表示します。
 この図は初速0から16区画直進させて停止した際の速度追従とモータの印加電圧のグラフです。0.7秒の間に起きた現象を1msごとに記録しています。
 加速時の加速度は三段階に分けています。
0.0-4.0m/s:28 [m/ss]
4.0-5.0m/s:20 [m/ss]
5.0-6.0m/s:15 [m/ss]
減速時は一律に0.0-4.0m/sの加速度を使用しています。ここまで加速度が上がると、電源の余裕ではなくタイヤのグリップが危ういため、グラフ的に余裕があっても迂闊に加速度を上げられません。
 加速度を複数設定すると、デューティ100%近くを維持することができるようになります。バッテリ電圧よりモータの目標印加電圧が多少オーバーしても速度は追従するため、そこまで神経質になる必要はありません。バッテリ電圧は加速時に一気に落ち込むので、モータの目標電圧と一緒に表示させることをオススメします。ここまで落ち込むのは、モータの端子間抵抗が小さすぎることと、このバッテリは3年前にAliExpressで買って以来ハードな使い方をし続けているせいもあります。
 それとモータの定格は3倍からと言われますが、許容回転数はなるべく守ったほうが良いです。大体高級モータだと12000rpmから14000rpmが主流です。私が使用しているドローン用のモータは許容回転数が高く、6m/s時に22000rpmくらいで回しています。高級モータよりもドローン用が熱いということは前から感じており、3年間同じ種類のモータを使い続けてきました。
CmHu4PgUYAEwmxX
 以下まとめです。
  • モータの定格3倍以上でデューティ100%付近を維持する
  • モータの許容回転数は守ったほうがいい(守ってるとは言ってない)
  • バッテリ電圧の落ち込みに注意
  • バッテリ電圧よりモータの印加電圧が多少オーバーしても速度は追従する


さいごに
 キャンバー族増えてほしい!

以上です。

全日本マイクロマウス大会2019クラシック競技優勝!

この記事はMicro Mouse Advent Calendar 2019の3日目の記事です。

 昨日はtanihoさんの2019年に買って良かったものについてでした。ディスプレイアームは私も今年購入して満足しているので、ディスプレイの高さや角度に不満がある人は購入の検討されることをオススメします。
 ちなみに私が今年買ってよかったと思うものは寝袋です。研究室でも車の中でもいろいろな場所で快適な睡眠を取ることができるため、寝落ちギリギリまで作業に務めることができます。


 さて、今年の全日本マイクロマウス大会にはI.Sysから11台のマシンが出場しました。
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出場した競技は以下のとおりです。
・マイクロマウス(ハーフサイズ)0台
・クラシックマウス 1台
・ロボトレース 10台

 うちのサークルからマウスが1台しか出場できなかったのは私も責任を感じています。趣味のロボット開発はスケジュールを組むのが極めて難しく大会までに最善を尽くすのは至難の業です。日常生活を送るだけでも精一杯だというのに、モチベーションに左右され調子がいいときと悪いときの差が激しく、なかなか思ったようには進みません。そんな中で後輩たちにモチベーションを与えるのが先輩の仕事だと思っています。
 私にモチベーションを与えてくれたのはInpさんそらさんに東日本地区大会で0.1秒未満の差で3位にされられたことです。おかしい、去年フレッシュマンだった方に勝てない。しかしもう少しハードを改良すれば勝てそうだということでマウスを魔改造する決断をしました。
 改造点はリポバッテリーを2Sから3S化したことです。実はモータードライバの最大定格が11-12Vで、リポ3Sの満充電電圧12.6Vでは耐圧オーバーしてしまいます。何年か前にあこちゃんが動作確認済みということで、電源装置で恐る恐る12.8Vをかけて動かしてみたところ、特に発熱もなく問題なく動いていたのでそのまま3S化しました。
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 壊れる部品はモータードライバとモーターくらいなので、焼けてもすぐに取り替えればいいだけの話です。結局、駆動用のモータードライバとモーターは今シーズン無事でした。
 学生大会のサーキットの試走でぶつかった衝撃により、吸引モーターの軸が曲がりロックして吸引用のMOS-FETが燃えることはありました。試走・本番で吹っ飛んだ原因は、吸引モーターの印加電圧を2Sのときのまま変更を忘れており、吸引力が低い状態で5.5m/s 26m/ssの減速をしたところ、グリップ抜けで壁に当たって吸引モーターの軸がやられました。

 3S化するにあたり、バッテリーの置き場が困りますね。2Sでピッタリになるようにマシン設計を行っているので、もう一つバッテリーを置くには吸引ファンの上になってしまいます。そこで、吸引モーター用のマウントを少し変更して、申し訳程度の低重心化を図りました。
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 そして完成したのがこのマシン 華金(ファージン)です。
EGF4BM-UcAE0LUO
 やっぱり基板から作り直したいなと思いながらも、そんなに時間が残ってないのでこのまま調整することにしました。
 触ってすぐにわかった。宇宙人レベルマイクロマウス語録)が見えてきたなと。

それでは例年通り全日本大会で使用したパラメータを公開しようと思います。

1走目:探索走行
 加速度:15.0 [m/ss]
 直進速度:1.0 [m/s]
 旋回速度:1.0 [m/s]

2走目:最短走行 (学生上位勢、海外勢対抗パラメータ)
 加速度(加速):0-3.8m/s:20 [m/ss]
       :3.8-4.8m/s:18 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:15 [m/ss]
 加速度(減速):20 [m/ss]
 最高速度:5.5 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.1 [m/s]
      in45deg:1.75 [m/s]
      out45deg:2.0 [m/s]
      in135deg:1.7 [m/s]
      out135deg:1.7 [m/s]
      180deg:1.8 [m/s]
      V90deg:1.7 [m/s]

3,4,5走目:最短走行 (宇宙人対抗パラメータ)
 加速度(加速):0-3.8m/s:25 [m/ss]
       :3.8-4.8m/s:18 [m/ss]
       :4.8-6.0m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):25 [m/ss]
 最高速度:6.0 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:1.9 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:1.9 [m/s]



 4走目でクラッシュしてパラメータを下げようかと思いながらも、落ち着いてマシンの様子を見渡すと吸引スカートが捲れている事に気づきました。すぐに軽微な修正をして同じパラメータで走らせたところ無事完走してくれました。いつから捲れていたのだろうか...

 MAXパラメータは使わなかったので公開する必要ないかと思いますが、優勝したので参考までに載せておきます。

MAXパラメータ
 加速度(加速):0-3.8m/s:28 [m/ss]
       :3.8-4.5m/s:23 [m/ss]
       :4.8-5.5m/s:17 [m/ss]
       :5.5-6.2m/s:13 [m/ss]
 加速度(減速):28 [m/ss]
 最高速度:6.2 [m/s]
 旋回速度:90deg:2.3 [m/s]
      in45deg:2.1 [m/s]
      out45deg:2.3 [m/s]
      in135deg:2.0 [m/s]
      out135deg:2.0 [m/s]
      180deg:2.0 [m/s]
      V90deg:2.0 [m/s]

 いかがでしょうか。対策されそうで怖いです。私は今年の地区大会をなるべく多く周り、上位勢の動画をたくさん撮ってきました。そして自分の走行と並べて比較し、パラメータを練りました。YouTubeなどに走行動画が上がっていますが、数年前の動画を見ても皆さんどんどん早くなっているのであまり当てになりません。常に最新の情報収集が最終出走でない出場者の優勝の鍵だと思います。最後は心理戦です。
2zCy1Fos

 また、2020 APEC micromouse contestに招待を頂きました。毎年クラシックマウスの上位入賞者が招待される大会のようで、とても名誉高いことです。3月16日に行われるそうなので、その日までにAPECルールに合わせた最善の走行ができるように精進してまいります。

 それと、今年注力したことは時間評価経路導出の実装です。実は全日本大会直前までデバッグしていました。今年の全日本大会の迷路は、経路導出を試される迷路でとても心配していましたが、似たような時間ベース経路導出をされているU氏と同じ経路を通れていたようで安心しました。次の課題は導出時間です。現状だと10秒ほどかかってしまい、最短走行を走らせる前に謎の待機時間が発生しています。これはAPECまでに処理の高速化ができればと思います。
 また、ハードにも色々な改善点があるので、それは次のマシン紹介記事で書こうと思います。できれば3月のデンソーカップまでに製作して、1週間後のAPECは新作で出場したいです。

 私は来年3月で学生生活が終わり、マイクロマウスは一段落かなと言っていましたが、N社長から「勝ち逃げは駄目ですよ?」と言われてしまったので、連勝目指して続けようと思います。半年前までは優勝争いなんてとんでもないもので、少しでも自分が参加した痕跡として爪痕が残せればいいなと思っていただけなのですが。

 長くなりましたが、今シーズンもお疲れさまでした。また来年、対戦よろしくおねがいします。


 明日のMicro Mouse Advent Calendar 2019H.S.さんで大会の感想・その他あったことです。よろしくおねがいします。

2018年クラシックマウス「Aventa」について

 2018年クラシックマウスはAventaで出場しました。このマシンは10月中盤に基板と3D部品を発注し、1ヶ月間でデバッグと調整を行った機体です。今回の記事は、このマシンについてまとめます。

目次

  • マシンスペック
  • 基板の配線
  • 高速パラメータ
  • キャンバー角
  • 壁センサー配置
  • 3Dプリント造形
  • 吸引スカート
  • 探索走行
  • マシンの失敗点
  • まとめ


マシンスペック

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  • 機体名:Aventa(アヴェンタ)
  • 基板:1.0mm (前期:黒, 後期:黄色)
  • マイコン:RX631 (100pin)
  • 壁センサー:IR発光ダイオード SFH-4550
  •       IRフォトトランジスタ QSD124(前壁用), ST-1KL3A(横壁用)
  • ジャイロセンサー:MPU6000
  • エンコーダ:AS5145B
  • モーター:駆動用 φ8.5, 20mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  •      吸引用 φ10, 15mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
  • モータードライバ:駆動用 DRV8835
  •          吸引用 AO3400
  • ギヤ(モジュール0.3):スパー70枚歯, ピニオン15枚歯, エンコーダ38枚歯
  • バッテリー:LiPo 2S(7.4V)150mAh 30C
  • 重量(g)78
  • サイズ(mm):L85, W70, H30


基板の配線

 プリント基板の設計はEagleを使いました。最近はバージョンがころころ変わるので、慣れた頃にまた新しいバージョンが出るという不具合が起こっています。

bandicam 2018-10-14 19-16-37-947
bandicam 2018-10-14 19-16-42-963


高速パラメータ

 例年は全日本で使ったパラメータを詳しくまとめていますが、今年は走りきれなかったので細かいことは書きません。動画のパラメータは参考に載せておきます。


行き
  • 加速度:加速時17[m/ss], 減速時20[m/ss]
  • 旋回速1.8[m/s]2.2[m/s] (訂正:この動画は恐らく1.7[m/s]2.0[m/s]のものでした
  • 直進最高速:5.6[m/s]
帰り
  • 加速度:加速時12[m/ss], 減速時15[m/ss]
  • 旋回速:1.5[m/s]2.0[m/s]
  • 直進最高速:3.0[m/s]

 高速域の壁補正がうまく制御できておらず、3.5[m/s]以上の直進はフラつく時があります。斜め直進時は角度補正で走らせているので、5[m/s]以上でも安定して走れています。現状では壁補正を切って角度追従させたほうが安定するので、壁の追従制御が今後の課題です。 この点はニュートラルキャンバーの変速四輪が安定するため有利です。


キャンバー角

 適度なネガティブキャンバー(以下「ネガキャン」)は美しいですよね。今作のマウスにはキャンバー角をネガティブ方向に3度つけました。ホイールだけでなく、モーターからエンコーダまで全て3度傾ける必要があるため、マシン設計が大変になります。ピタゴラスの定理を用いながら、モーターの高さ、車高の調整、自作磁気式エンコーダの軸合わせ等を行いました。ネガキャンにする利点と欠点は以下のとおりです。

メリット

  • オシャレ、美しい、ロマン
  • 高速旋回で接地面積を最大にする
  • 荷重移動を味方にする
  • 賢くトレッド幅の増加

デメリット

  • 高速域の直進安定には制御の強化が必要
  • 直進加減速で最大のグリップ力を発生できない

(結論、今年の全日本の迷路ほんとやめてほしい)


高速旋回で接地面積を最大にする
 ネガキャンは見た目だけで、常時タイヤの接地面積が減って動力性能を落とすという誤解があるようですが、適切にキャンバー角をつけて高速旋回すると、ニュートラルキャンバーよりも接地面積が増加します。ここでポイントとなるのが高速旋回です。タイヤがヨレるくらい高速な旋回をしないと、接地面積は稼げません。実車の場合は横Gをしっかりかけてやらないと意味がありませんが、マウスの場合はタイヤがすり減ってくると、図のように偏摩耗します。

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大げさに書いているので、”オシャレ、美しさ”から離れてしまっていますが、今は気にしないことにします。実際のマウスの偏摩耗具合を見ても、有効に広い面積を使えていそうです。

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荷重移動を味方にする
旋回時荷重移動した際、片輪に荷重が集中します。このとき、荷重の乗った1輪のタイヤが旋回をサポートするように働きます。上図のAとBではBの方が円周が大きいので、1輪のタイヤでもタイヤ径に差が発生します。遠心力により重心移動をさせて片輪に荷重を乗せれば乗せるほど曲がりやすくなります。今作のマウスは、バッテリーを機体の中心に立てて乗せています。ネガキャンのマシンでは重心移動も旋回に有利に働くため、マシンをコンパクトにする方に注力しています。

直進安定性についてですが、直進時には両輪に同程度の荷重がかかるため、マシンが精度良く作られていて、制御がしっかりしていればブレることはありません。そんなうまいこといかないので苦労させられます。

トレッド幅の増加
 トレッド幅を大きくしたければ、ホイールにスペーサを入れればいいだけの話ですが、キャンバー角を付けることによって、旋回軸の慣性モーメントを小さくしたままトレッドを広げることができます。トレッド幅を同じにした際、ネガキャンの方が重たいものを内側に寄せることができています。マシンの中心にモーター等が寄るので、その分のクリアランスを考慮する必要があります。

 また、ネガキャンのホイールにスペーサを入れると、トレッド幅を広げると同時に車高を落とすことができます。マシンの様子を見ながら、ツライチになるまでスペーサを入れて車高を落としましょう。

直進加減速で最大のグリップ力を発生できない
 理論上の利点は色々ありますが、あまり倒しすぎてもいけません。直進時は接地面積が減っている状態になり、直進加減速時で不利になります。タイヤを偏摩耗させて接地面積を増やした場合は直進安定性が悪くなります。クラシック競技の場合、加速度よりも旋回速を上げたほうが楽にタイムが伸びそうなので、適度なキャンバーは有利と判断して採用した次第です。ここは頑張って制御で補います。


壁センサー配置

 横壁センサーの向きが少し特殊な配置をしており、なぜこんなことをしたのか質問を受けました。個人的に横壁センサー配置のポイントとしていることは、壁切れ位置と角度です。壁切れの位置は図の「壁切れポイント1-3」に示すとおり、大きく分けて3パターンに分けられます。

bandicam 2018-12-06 21-29-05-496
 それぞれに利点と欠点があり、論争が起こる場所ですが、私は「壁切れポイント1」の柱より奥を見ています。このためには、センサーに大きな角度をつけるか、距離を離す必要があります。センサーに大きな角度を付けた場合を考えます。

bandicam 2018-12-10 01-15-01-433
 図に示すように仮想センサー2を追加して、マシンに10度の傾きをつけてみました。この図から壁切れ位置が大きく影響されることがわかります。なるべくセンサーの角度は小さくしたいものです。

センサーと壁の距離は、遠すぎても近すぎても問題があります。遠い場合はセンサー値が低くなり、壁の読み違いが多くなります。この問題は、半値角が低く高輝度のLEDを採用し、フォトトランジスタに高精度なものを使用することにより、ある程度解決できます。この機体は前壁と横壁でフォトトランジスタを変えていて、横壁の方に高精度な物を使っています。近すぎる場合の問題点として、センサー値の飽和が挙げられます。壁との距離を近づけているはずなのに、センサー値が上がらない、逆に下がっていく現象のことです。LEDの発光量を減らすことである程度解決できますが、減らしすぎるとやはり壁の読み違いが起こります。


3Dプリント造形

 モーターマウント、ファンマウント、ホイール、吸引ファン、シムリング、エンコーダの磁石ホルダ付きギヤ(モジュール0.3)をDMM.make3Dプリントサービスで製造しました。

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 材質はアクリルのウルトラモードの黄色で5,100円(送料込み)程度です。価格は高めですが、一般家庭用の3Dプリンタでは出せない精度で造形してくれます。クラシックマウスに使うとすぐ割れる等の噂があり不安でしたが、軽さと自由度の高さは魅力的なので、一度使ってから考えようと思い造形を依頼しました。やってみた結果、一度もハードが壊れることなくシーズンを終えました。意外となんとかなるものです。これはモーターが軽いことが効いていると思います。個人的には、モーターマウントにアルミを使うよりも、アクリルを使ったほうが曲がらなくていいと思います。割れたら交換すればいいだけの話なので。OB会の時に先輩方から、アクリルは湿気によって脆くなるという話を伺いました。CNCで切削できるものは、なるべくPOMを使ったほうが良いそうです。


吸引スカート

 吸引スカートは2層構造になっています。1次スカートと2次スカートに分けられ、1次スカートには両面基板、2次スカートには秋月のチャック袋を使いました。生基板は決して軽くはありませんが、腹下に配置できるので低重心化を狙えるということと、基板の強度を上げてくれるメリットがあるので、あえて重い両面基板を用いました。

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 写真は製作途中のもので、1次スカートの内側の2次スカートをカッターナイフで切り抜きます。基板の裏面にジャイロなどの部品を取り付けているため、1次スカートの厚みは1.6mmにしましたが、少し分厚かったので次回作は薄くします。写真では写っていませんが、マシンの先端にもシートを張り、2次スカートが捲れないようにしています。吸引ファンの3Dモデリング画像も参考に載せておきます。

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 吸引力は動画のとおりです。Z軸の角速度をゼロにするようにPID制御をかけつつ、逆さまにしたりできます。この動画はTwitterで39,000件ほどのインプレッションをいただきました。



探索走行

 今回実績を得たものはフル迷路全面吸引探索です。

bandicam 2018-12-10 14-26-54-241

 これが全面探索を終えたログデータです。フル迷路では、吸引探索、全面探索共にはじめての試みでしたが、無事マップデータを作ることに成功しました。今回は安全をみて1.0[m/s]で探索を行いましたが、部室の16*8区画の迷路では1.3[m/s]の全面探索に成功しています。来年の地区大会では更に安定感を上げて、その速度でお見せできればと思います。

 参考に1.3m/s探索の動画です。


 今まで探索中の既知区間加速をやろうと思ったことがありませんでしたが、どうせ旋回速を上げるなら探索タイムも上げたいので、今後既知区間加速の実装も行います。


マシンの失敗点

レギュレータの発熱
 今回の回路は約8Vのバッテリー電圧から3.3Vにリニア・レギュレータで降圧し、その電力でモーター以外を賄っているので、とにかく発熱が酷くて何度も火傷しそうになりました。レギュレータは降圧分の電力が熱に変換されて熱くなるので、変換効率がとても悪いです。そこで、手持ちのDC-DCに換装しました。

DSC_0709

DC-DCはスイッチング電源なので、インダクタの内部抵抗やスイッチング損失程度の発熱しかありません。換装したことにより発熱が殆どなくなりました。配線が雑なので偶にマイコンのリセットがかかったり、断線したりします。

重心バランス
 重心バランスはマシン設計のときに一番重要視する部分です。しかし、作ってみないとわからないところがあり、毎年マシンを思いっきり改変している私からすると、過去のマシンも参考になりません。設計段階で後ろ重心かなと思いながら製作し、更にDC-DCが後ろに乗った事により、少し後重心になってしまいました。吸引モーターに大きめのモーターを使っているのも、バランスをとるためです。吸引モーターを小型にした場合、基板の裏面に鉄板を貼り付けてバランスを取る必要があります。2輪マウスは重量バランスが非常にシビアです。次回作では、最初からDC-DCを搭載することを前提として重量バランスの整ったマシンを設計します。

角加速度の上げすぎ
 2輪で重心バランスがある程度しっかりしているマウスは本当に素直に動いてくれます。探索程度の低速であれば角加速度を無限にしても走れます。しかし、そんな物理的によろしくない目標値を与えて調整しても、路面が少し低摩擦になるだけで制御が破綻してしまいます。部室の迷路は割とグリップできる路面だったので、そこで調整してもツルツルな板の上では走れません。完全に失敗でした。来年は角加速度を落として安全に曲がれる機体を持っていきます。

壁センサーのキャリブレーション

 今までは最短走行時に壁切れができればいいな程度のアバウトな制御でしたが、今回から壁切れで距離補正を厳格化して走行するように制御を変えました。その変更が仇となり、会場の照明の違いで誤差が大きくなり、走らなくなったと考えられます。試走会で路面の問題なのか苦手パターンの問題なのかと悩んでいましたが、会場の照明の問題だった可能性があります。次回の大会までには会場で簡単にセンサー値をキャリブレーションする機能を実装します。

全日本のパラメータ選択
 これはマシンの失敗点ではなく、私が全日本でやらかした失敗です。最短走行の1走目でコケたにも関わらず、2走目でパラメータを上げてしまいました。速い旋回のほうが入念に調整していたのでそれを使いましたが、スタートを切って2回目の旋回で姿勢が乱れてフェイルセーフがかかりました。そして最短3走目、モードを暗記できていなくてパラメータ選択をミスりました。来年は地区大会をできるだけ回って、人為的ミスを少なくするようにします。もしかすると、吸引の2次スカートが乱れていたかもしれません。そこを見直しておけばよかったと後悔しています。結局、最短走行の4走目は斜め走行をしない1.0[m/s]の小回りターンで完走しました。クラシックマウス歴3年ですが、斜め走行できなかった全日本大会はこれが初めてなので残念です。


まとめ

 今年の全日本大会は悔しい結果に終わってしまいましたが、今までのマシンよりも遥かにハイスペックなものが作れたので良しとします。今わかっている失敗点は最低限改善して、次に備えたいと思います。そして今年からクラシックマウスは初級者向け(教育用)の競技として位置付けられてしまったようなので、マイクロマウス競技(旧ハーフサイズ)のマシンも製作していきたいと思います。

 最後に今まで製作してきたクラシックマウスの集合写真で締めたいと思います。来年こそは吸引しながら斜め走行を決めたいです。

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【Trifilar】2017年マイクロマウスの紹介

今年はTrifilar(トリファイラ)で出場しました。

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機体名:Trifilar(トリファイラ)
基板厚:1.0mm (前期:緑、後期:白)
マイコン:RX631 (100pin)
壁センサー:SFH 4550 (IR発光ダイオード)
      QSD124 (IRフォトトランジスタ)
ジャイロセンサー:MPU6000
エンコーダ:AS5145B
モーター:φ8.5, 20mm(AliExpressで買い漁って選別したもの)
モータードライバ:DRV8835 (駆動用2個、吸引用1個)
バッテリー:LiPo_2S(7.4V)150mAh 30C
重量:39g(機体重量(吸引なし))+10g(バッテリー重量)
サイズ:83*44*25

 このマシンは去年の全日本が終わった辺りから構想を固めて、春にはテスト基板発注、夏の終わりごろには動作テストまで済んでいたのですが、初の磁気式エンコーダ自作吸引の追加などで、かなり手こずってしまいました。エンコーダについては磁気シールドの問題が深刻で、モーターには引きつけられるし、磁石を向かい合わせにしているので磁石同士でも引きつけ合って大変でした。
 磁気シールドはモノタロウの鉄スペーサーを購入することにより解決しました。スペーサーの自作は精度が出ない上に欲張って軽量化しようとしてシールド性能が下がってしまうので諦めました。エンコーダはAS5145Bを使用しています。データーシートにはφ6の磁石を使用してくれと書いてありますが、先人のマウスを見るとデーターシートに従っていないものが多く見られます。私は初めてなので仕様書に従って作りました。するとスペーサーも大きくなるし磁石の保持具も大きくなるのでマシン設計が大変になりました。
 吸引機についてはモータードライバの過電流保護の問題が深刻で、普通のNch-MOS-FETを使っておけばよかったと後悔しました。この問題に気付いたのが大会一週間前なので、今回は吸引なしで大会に出ることに決めました。吸引なんて一方向にしかファンを回さないので、Hブリッジである必要は全くありません。個人的にお勧めのMOS-FETはAO3400です。データシートを見ると、30V5Aとマウスには必要十分なスペックを持ち、パッケージはSOT-23と小型、更に逆電圧保護ダイオードが内蔵されています。そして決め手はAliExpressで安いということですね。100個で200円送料無料です。メインモーターを駆動しているDRV8835もAliExpressで買えば安いですよ。

 吸引ファンを2つ搭載する利点は、前後のファンを逆回転させてカウンタートルクを打ち消し合う為と、前後のファンのトルクを可変することにより、旋回の補助をすることができます。以下に図を示します。
bandicam 2017-11-22 19-21-41-789
 パワーポイントで図を作ってみました。緑が基板で黒がタイヤ、黄色い丸が吸引ファン、赤い矢印がモーターにかける電圧です。吸引ファンは逆回転しており、前後の吸引モーターにかける電圧をスラロームと同時に制御することにより、普段はタイヤの摩擦力で機体を曲げていたのが、吸引ファンの力で曲げることができるようになります。その分、タイヤのグリップは横Gに耐えるための摩擦力に注力できるため、旋回速度を上げられるという目論見です。タイヤのグリップには限界があります。その限界を角速度を発生させるために全力を使っては勿体ないですよね。

 そしてこの機体、想像以上に高重心になってしまいました。バッテリーをモーターとエンコーダの上に乗せるしかなくなってしまって、仕方なくそのまま設計を進めたらこうなりました。私が目標としていた物理的に美しい機体とは程遠いものになってしまい、この段階で動力性能は激落ちで、ターン速度も全然でないことが察せました。(たとえ吸引をしたとしても)
 基本的にマシンの旋回速度を上げるには、「重心を低くする&慣性モーメントを下げる&トレッド幅を広げる」この3点だと自分は思っています。高重心・低トレッドだと、旋回するときに片輪の荷重が抜けて制御が不安定になります。旋回軸の慣性モーメントが大きいと旋回しずらくなるので、重い部品はなるべく旋回軸上に寄せて置くようにします。マイクロマウスの場合、トレッド幅に関しては広い方がいいか狭い方がいいか、どちらにもメリット・デメリットがあると思います。
 まずトレッド幅が広い場合、左右のタイヤ両輪に荷重を掛けやすく、旋回時に安定した制御がしやすい利点があります。
 次にトレッド幅が狭い場合、同じサイズの迷路を走らせる上で旋回半径を大きくとれる利点があります。以下にスラロームのシミュレーション結果を示します。

bandicam 2017-11-22 20-06-32-049
    図4. トレッド幅70mmのスラローム
 緑が中心軌道、水色がタイヤの軌道です。重心速度1m/s, 角加速度20000deg/ss, 角速度500deg/sのスラロームシミュレーションです。割と一般的な軌道かと思います。実際には前距離と後距離を調整してスリップ角を対処してやらないといけないのですが、大体こんな感じです。

bandicam 2017-11-22 20-02-23-835
     図5. トレッド幅44mmのスラローム
 トレッド幅を44mmにするだけでこれくらい変わります。柱と距離があいてぶつかる確率が減りました。このスペースが今回の完走率に貢献してくれています。実は私が低トレッドにした理由は別にあります。それは低角度斜め走行ができるようになるということ。斜め直進時以外の旋回の組み合わせの場合、45度や135度、V90のターンはもっと浅く旋回するだけでいいのです。私が導入したアルゴリズムだと、
45度→35度
135度→125度
V90→V80in, V80out, V70
の旋回パラメータを今までとは余分に制作します。これにより、旋回半径を広げるとともに横Gを更に下げることができ、限界突破できそうな気がします。今年は吸引に時間奪われ、間に合わず諦めました。低角度斜めのパス生成アルゴリズム自体は組んであるので、時間があるときにデバッグと旋回調整をして実験してみようと思います。V70のシミュレーション結果は以下の様になります。

bandicam 2017-11-22 20-02-53-373
     図6. V70スラローム軌道
 重心速度1m/s, 角加速度20000deg/ss, 角速度400deg/sのスラロームシミュレーションです。かなり攻めた軌道を通ることが分かります。横Gに関しては、0.89Gから0.71Gまで抑えることが出来ました。それだけスリップ角も小さくなり、重心速度も上げられます。これはトレッド幅が狭くないと曲がれないので実験すらできません。この低角度斜め走行をやりたいが為に、トリファイラの低トレッドにしたのですが、結局時間配分をミスって肝心なところに手が回りませんでした。吸引は次回作でもできるから低トレッドな機体があるうちにやっておくべきだったと後悔しています。

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 今回からDMMの3Dプリントサービスに部品を造形してもらうことにしました。今まではCNCで切削していたのですが、複雑な形が作れなかったりCNCが動いている時は傍にいないといけなかったりと制約が多いので3Dプリンターに手を出しました。3DCADはDesignSpark Mechanicalを使いました。最近はもっと高機能でレンダリング機能がついたCAD、Fusion360があるのでそちらに移行予定です。私はDesignSparkのほうが扱いやすいと思います。
 上のデータをアクリル(Ultra Mode)のブラックで発注して、価格は5,281円(送料込み)でした。安く済ませようと思ったらナイロン製で1,176円ですが、精度が全く違うのでお勧めできません。特にモーターマウントや吸引ファンなどの制度が必要な部分には不向きです。アクリルならそこそこな精度で造形してくれます。

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 肝心の強度についてですが、扱いが悪いとパーン!って粉々に割れますね。ナイロンの方は多少弾性があるので割れにくいですが、アクリルは硬度が高いので割れてしまいます。モーターマウントとホイールは一度も割れませんでした。吸引ファンにはちょっと厳しいかもしれません。先輩も今シーズンで5個くらいのファンを割ってるみたいです。保持具をしっかり作って基板と掠らせなければ割れないとのことです。

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 ホイールとスパーギヤはこのように設計しました。スパーギヤはM0.3の70枚歯です。AliExpressで購入しました。買った時から6穴の肉抜きがされていたので、その場所にホイールから円柱をプルして固定させました。スパーギヤは固定しないと急加減速時に意外と滑るので、このように固定できると心強いです。それからホイールとシムワッシャーを一体化させてみました。アクリルじゃないと造形できないみたいです。

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 タイヤの方はミニッツのワイドタイヤ30°を半分に切って使いました。今回はトレッド幅を狭めたいのでタイヤを細くしました。基本的にはタイヤの太さに関係なくグリップは出ます。車重が重くなるとタイヤが太くないとグリップ力が飽和する問題に直面しますが、このマシンではタイヤが沈むほどの重量はないので大丈夫です。ただ、自分でタイヤを半分にするとどうしても偏りが出来てしまいます。ちょっとくらいジャイロセンサーでどうにでもなるのですが。

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 バッテリーは毎度お馴染みの自分で2S化します。JJRCの150mAh, 30Cのリポを直列にします。まずは分解して、その時にリポの過電流保護回路は取り外します。ここは意見が分かれるところだと思いますが、こんなところでリミットを掛けて欲しくないので私は取り外しています。不安な人は付けておいてください。

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 今回は横に並べて平たく配置しました。バッテリーの置き場所がモーターの上になってしまうので、申し訳程度の低重心化です。マシンに合わせてバッテリーの形状を変えられるところが自作の魅力です。

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 それから、トリファイラのマウスのセンサー配置はコンパクトでいいですが、初心者にはあまりお勧めできません。バイファイラのセンサー配置の方をお勧めします。その理由は、壁判定及び壁切れ判定の閾値調整がシビアということと、角度によってセンサー値が結構変わるので、ある程度安定した走行ができないと探索すらできない機体になってしまいます。また、壁補正するためのゲイン調整もシビアです。一般的な1717を使うDCマウスは、機体が大きいので、ちょっと位置がズレても壁に当たって補正が効くことがあります。しかしこのマウスは自分で自己位置補正をしてやらないと位置がズレていきます。初心者の方は安定したセンサー配置がいいですよ。

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 マイコンを基板下に置いてみました。マイコンは意外と高さがあり、1mmの基板よりも背が高いので場所には注意が必要です。タイヤのすぐ下なら大丈夫そうな気がします。また、トレッド幅を限界まで小さくするために、ネジを基板で浮かせてマイコンのピンの上でネジ止めするような設計にしてみました。これでも十分止まっているので面白い設計になったと思います。こんなことができるのも個人の趣味ならではなので積極的に取り入れていきましょう。

 毎年恒例のマシンのパラメータを公開します。去年のバイファイラのパラメータより旋回速度がかなり遅くなってます。
<クラシックエキスパート予選の走行パラメータ>
1走目:探索走行
    加速度(加速)    5[m/ss]
    加速度(減速)    10[m/ss]
 最高速度 0.6[m/s]
    旋回速度 0.6[m/s]
2走目:最短走行
    加速度(加速)    10[m/ss]
    加速度(減速)    15[m/ss]
    最高速度 3.0[m/s]
    旋回速度 All 0.6[m/s]
3走目:最短走行(V90で柱に掠りフェイルセーフ発動
    加速度(加速)    10[m/ss]
    加速度(減速)    17[m/ss]
    最高速度 4.0[m/s]
    旋回速度 {L90deg, 45deg, 135deg, V90deg, 180deg}
      {0.9m/s, 0.89m/s, 0.77m/s, 0.7m/s, 0.7m/s}
4走目:最短走行
    加速度(加速)    10[m/ss]
    加速度(減速)    15[m/ss]
    最高速度 4.0[m/s]
    旋回速度 {L90deg, 45deg, 135deg, V90deg, 180deg}
      {0.9m/s, 0.89m/s, 0.77m/s, 0.7m/s, 0.7m/s}
5走目:最短走行(MAXパラメータ
    加速度(加速)    13[m/ss]
    加速度(減速)    20[m/ss]
    最高速度 5.0[m/s]
    旋回速度 {L90deg, 45deg, 135deg, V90deg, 180deg}
      {0.9m/s, 0.89m/s, 0.77m/s, 0.7m/s, 0.7m/s}

<クラシックエキスパート決勝の走行パラメータ>
1走目:探索走行
    加速度(加速)    5[m/ss]
    加速度(減速)    10[m/ss]
 最高速度 0.6[m/s]
    旋回速度 0.6[m/s]
2走目:最短走行
    加速度(加速)    10[m/ss]
    加速度(減速)    15[m/ss]
    最高速度 3.0[m/s]
    旋回速度 All 0.6[m/s]
3走目:最短走行
    加速度(加速)    10[m/ss]
    加速度(減速)    17[m/ss]
    最高速度 4.0[m/s]
    旋回速度 {L90deg, 45deg, 135deg, V90deg, 180deg}
      {0.9m/s, 0.89m/s, 0.77m/s, 0.7m/s, 0.7m/s}
4走目:最短走行(MAXパラメータ
    加速度(加速)    13[m/ss]
    加速度(減速)    20[m/ss]
    最高速度 5.0[m/s]
    旋回速度 {L90deg, 45deg, 135deg, V90deg, 180deg}
      {0.9m/s, 0.89m/s, 0.77m/s, 0.7m/s, 0.7m/s}
5走目:タイムアップより走行せず

MAXパラメータで走らせた動画は以下の通りです。

 今回の正確なタイム測定でわかったことがあります。それは、「パラメータを上げてもタイムが良くなるとは限らない」ということ。上記のパラメータで走らせて、一番の好タイムを記録したのは予選の4走目と決勝の3走目でした。MAXパラメータはタイムロスで遅くなっていました。そもそも減速20[m/ss]はタイヤがスリップしている可能性が高いです。ログでは追従していても、路面とグリップしているかは別問題なので監視できません。減速でスリップしても次のターンの時に壁切れ補正で距離が整うので完走は出来てしまいますが、低速時の距離が長くなるので結果的にタイムロスが発生したと考えられます。これについては、壁切れの補正距離を監視してやれば、スリップしている距離の推測ができると思います。今回は旋回速度が極端に遅いため、低速時の距離の増加はタイム的に大きな悪影響を及ぼしたようです。
 補正が悪いような言い方になっていますが、今回の完走率はとても高いものでした。コケたのは予選の3走目のみ。これは壁補正や壁切れ補正のおかげです。完走率を上げるなら旋回の調整よりも補正の調整をした方がいいと思います。

それでは、今シーズンもお疲れさまでした!
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