半年以上出遅れましたが、2018年初記事です。今年もよろしくお願います。

 今年最初に行ったサークル活動は、からくり工房I.SysのPVをAviUtlで制作したことです。



 この動画を公開して、様々な方から「動画編集は何のソフトを使いましたか?」等の質問を受けたので、今回の記事はこちらの動画の制作過程について、自己流な点を備忘録も兼ねて紹介しようと思います。

 AviUtlの導入については様々なサイトが紹介しているので、そちらを参考に導入してください。パソコンに不慣れな人はここが第一関門で、様々なプラグインのフォルダ移動をしないといけないので中々難しいと思います。一度導入を済ませてしまうと、インストール不要・承認不要なソフトなので、他のPCにフォルダを移すだけで引き継げます。その点は有料ソフトよりも使い勝手がいいです。ただしWindows専用です。
 このソフトの読み方ですが、制作者KENくんは好きに呼んでもらって構わないとのことで、色々な読み方をする人がいますが、私はエーブイアイ・ユーティリティー派です。プラグインを入れることによってmp4などの動画形式も扱えるようになります。

 まず、この編集ソフトを極めるとどんな動画が作れるのかを先に紹介しようと思います。



 こちらの方の動画は、高レベル過ぎて逆に参考にならないパターンのものですが、このソフトを使いこなせれば一通りやりたいことはできそうだなと思っていただければいいと思います。仮想3次元空間内に好きなように図形や文字、動画や画像を配置することができ、カメラ制御で好きなように動かせるので、操作に慣れるとかなり楽しいソフトです。

前置きが長くなりましたが、PV・MVの制作手順について解説します。

1.全体的構成を大雑把に考える
 今回のサークルPVの場合、マイクロマウスとロボトレースとロボット相撲の3競技を、それぞれて紹介することをメインとして、新入生に入部を呼びかける内容にしようと考えました。ここでは細かいことは考えずに、次の工程に進みます。

2.動画の構成に合う曲を選ぶ
 大雑把に動画の構成を考えたところで、次に曲を選定します。曲の構成によって、動画に使える時間配分も変わってくるので、とても重要な要素です。PV動画には色々とタイプがあるので紹介します。

 ・音声と効果音を用いるもの
 ・どこで切っても当たり障りのないBGMを流すもの
 ・音楽1曲で動画を完結させるもの(MV)
 ・複数の音楽を繋ぎ合わせるもの
 ・効果音の部分と音楽の部分の両方を持ち合わせるもの

 一般的に、下に行くにつれて時間と労力が必要になります。今回は「音楽1曲で動画を完結させるもの」を紹介します。MV(ミュージックビデオ)にも使える手法になるので、自作の曲に動画を付けたい人も参考になるかと思います。
 曲を選ぶにあたって、個人的にお勧めしたいのがNCSNoCopyrightSounds)です。こちらは名前の通り著作権を持たない曲が無料でダウンロードできるので、動画制作界隈で近年注目を集めています。
 動画に合いそうな曲が見つかったら、その曲を解析していきます。

3.音楽を解析ソフトにかける
 音楽にはBPM(Beats Per Minute)があります。BPMはテンポの単位で、一分間の拍数を指します。このBPMによって動画の雰囲気も大きく変わります。お笑い芸人"小島よしお"の「そんなの関係ねぇー」のギャグが売れなかったころ、BPMが高すぎることを指摘されて、テンポを落として改良したところ大ヒットしたそうです。みんなが手拍子できるテンポに合わせることがヒットの秘訣でした。余談になりましたが、BPMの話がでると毎回これを思い出してしまいまいます。これをテレビで見てからは、再生回数の多い動画や音楽はBPMにも注目して鑑賞するようになりました。

 私がお勧めするBPMの解析ソフトはWaveToneです。
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詳しい使い方は他サイトが紹介しているので省略しますが、要点だけ簡単に説明すると、
 ・WaveToneをインストールして起動
 ・音楽ファイルをドラッグアンドドロップ
 ・ツールバー→解析→テンポ解析を選択
するとこの画像のようなものが出てきます。このグラフがなるべく鋭い方が動画編集しやすいです。テンポがバラバラな曲の場合は、この手法は使えません。AviUtlに表示される音声波形を見ながらの作業になります。
 今回私が選んだ曲は128[BPM]になりました。このBPMと拍子をAviUtlに入力して作業しやすくします。

4.AviUtlに解析結果を入力する
 AviUtlの詳しい使い方についても他サイトが紹介しているので省略しますが、要点だけ簡単に説明します。
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 ・AviUtlの拡張編集を開く
 ・拡張編集上で右クリック
 ・グリッド(BPM)の表示にチェック
 ・グリッドの設定を選択

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するとこのような画面が出てくるので、テンポ(BPM)と拍子を入力します。テンポの値を変えると、拡張編集の縦の点線の幅が変わります。拍子の値はテンポの線が拍子の数だけ進んだら太線になります。上の画像でよく見ると、8テンポ進んだら少しだけ太線になっていることがわかります。拍子の値は作業しやすい適当な値を自分で決めてください。
 これでAviUtlの下準備は完了です。縦線があると、テキストや動画などのブロックの位置を適切な場所にスナップしてくれるので、微調整の時間が大幅に短縮されます。

5.素材集め
 ここが一番肝心な部分です。PV・MV制作をするにあたって、下の二択になると思います。

 ・音楽に合わせて素材を撮影する
 ・既に存在する素材を選別して音楽に合わせる

 今回、私のPV制作の場合は後者でした。サークルのデータ共有保管庫の2017年ファイルには140GBあったので、素材に困るどころか一通り眺める事に苦労しました。撮影してくれたサークル部員の皆さん、ありがとうございました。PVの素材はうちのサークルで生産されたものを使い、ネットに上がっている素材にはなるべく手を付けないようにしました。唯一、大学のロゴのみ拝借しましたが、これはグレーゾーンです。某大学では学生に注意喚起しているところもあるそうですが、うちの大学では特に決まりがなさそうだったので使用しました。後述しますが、大学の様々な場所で動画を流していても指摘を一切受けなかったのでセーフということでしょうか。

 次にフォントについて紹介します。フォントはフリーでも配布されていますし、有料の質がいいものも購入することができます。今回は有料のフォントを購入してみました。Design Cutsというサイトで、99%OFFのセールをやっているのを見つけ、数百円ならとつい購入してしまいました。頻繁にセールをやってるみたいなので、高級フォントに触れてみたい方は利用してみてください。

6.動画編集
 やっと本題です。ここが一番時間のかかる部分ですが、AviUtlの使い方は省略します。本当に他サイトが優秀なので何も言うことがありません。サークルPVの動画編集を終えた後の拡張編集の作業ウインドウはこのようになりました。
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レイヤー数は18、シーン数は5でした。このプロジェクトファイルの配布は行いませんのでご了承ください。質問があればお答えします。
 AviUtlは完全にCPU依存なので、グラボやメモリよりもCPUを強化した方がいいです。因みに私のPCは高校1年の冬に自作したもので、スペックは
 ・CPU:CORE i7-3770K
 ・マザーボード:Z77-V PRO
 ・メインメモリ:8GB×2
 ・グラフィックボード: AMD Radeon HD7800 Series
 ・SSD/HDD 計5枚
 ・電源:600W 80PLUSゴールド
 ・OS:windows10 64bit
 ・PCケース:Z9U3 ブラック
 ・ディスプレイ:23インチ×2(1つは90度回転型)
こんな感じです。普通のパソコンで大丈夫です。

エンコード環境は、プラグイン出力の拡張x264 出力(GUI) Exで、圧縮プロファイルをYouTubeでmp4出力を行いました。HD画質の3分30秒の動画で約100MBです。

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以上です。PV動画を企業に外注すると、物に寄りますが数十万円かかるそうです。この機会に動画制作技術を身に着けてみてはいかかでしょうか。

また、このサークルPVは様々な場所で使われました。
・大学の入学式で新入生全員の前で投映して、ステージで解説を交えて発表
・ロボット関係の一般教養の授業でPVを流して解説
・大学の食堂の天井に設置されている画面で一ヶ月間再生
・新入生勧誘期間中サークルの部屋の入り口で一ヶ月間再生
など。
沢山使っていただけたので、作った甲斐がありました。来年もまた私が作るかもしれないので、その時までに新しいアイディアを考えておきます。